どうもKAKA’(@teamkaka10)です。

株式市場の利回りに大きな影響を与える要因を考えた時に、私は経済の成長を思い浮かべました。
シーゲル教授の著書を読むと経済成長が株式利回りに与える影響は、多くの投資家が考えているほど大きくないと述べています。
株式の利回りにプラスの影響を与える要因として、経済全体の安定性・売買コストの減少・税制の変更などが重要だとシーゲル教授は述べています。
本日は、株式利回りに与える要因を理解したいと思います。
GDPの成長と株式利回り
下記の図は先進国と途上国の株式市場の長期利回りと実質GDP成長率の関係をそれぞれ示しています。


(出典:ジェレミー・シーゲル著 株式投資第4版)
実質GDPの成長率と株式市場の利回りには負の相関が見られ、経済成長率が高い国ほど、株式の利回りが低くなっている事がわかりました。
株式投資の魅力を認識した投資家が株価を競い競り上げ、結果的に投資家は高い価格で株式を購入するため、高い利回りを得られる可能性が低くなってしまいます。
※相関とは
- Xが大きい時は、Yも大きいという傾向を相関が強い正の相関といます。
- 相関が強いほど1に近づきます。
- −0.2から0.2を相関がほとんど無い状態です。
- Xが大きい時は、Yが小さいという傾向を相関が強い負の相関といます。
株価は将来の配当の現在価値
経済成長は将来の配当を増加させ、株価を上昇させると考えてしまいますが、株価が決まる要因は、1株当りの利益と配当になります。
経済の成長は利益と配当の総額を増加させますが、1株当りの利益や配当を増加させるわけではありません。
経済が成長するためには、設備投資が必要になり大きな費用が掛かります。
この費用は負債となり、金利負担の増加と利益の希薄化に繋がり、1株当り利益の成長を減少させる事になります。
長期的に高い成長を維持する為には、設備投資が不可欠です。
資本財(工場や設備などの実物資産と知的財産の価値を合計したもの)と総生産は長期的には、ほぼ同じベースで増加している為、GDPを10%成長させるためには、資本財も10%増加させなければなりません。
経済成長と株式利回り
表8−1は1871年から2006年12月の機関における米国株の1株当り配当、1株当り利益、株式利回りを示しています。

(出典:ジェレミー・シーゲル著 株式投資第4版)
過去135年の1株当り実質利益の成長率は平均1.88%でした。
設備投資費を賄うためには株式や債券による資金調達が不可欠である為、長期的に1株当り利益の成長率が経済全体の成長率と一致しない事がわかります。
また、1株当り利益と1株当り配当の成長率がGDP成長率が低下した第二次世界大戦以降に上昇している点も注目です。
GDPの変動率は年々低下傾向にあります。変動率の安定化は、景気後退をより短期で穏やかなものにし、景気拡大はより長期になります。
経済の安定化は、よりよい金融政策、情報などの金融サービスの拡大、生産管理の改善によってもたらされます。
インフレ率が低水準で、税制が株式に有利なままで、景気循環が穏やかであれば、株式市場にとって20倍を超えるPERも正当化できるとシーゲル教授は述べています。
まとめ
高い経済成長が高い利回りを保証するものではない事がわかりました。
過去のデータから、ゆっくりと成長している国は急成長している国よりも高い利回りをもたらす傾向がわかりました。
この傾向は米国などの先進国にとって有利である事がわかりました。
株式利回りが高い時期の後には株価収益率(PER)の低い期間が訪れ、株式利回りが低い時期のあとにはPERが高い期間が訪れます。
売買コストの低下、税率の低下、経済安定性の向上は、将来のPERが上昇する事を意味していますが、株価がより高い水準に達すると、将来の株式利回りは低下する事になります。
ただ、利回りが低下しても長期投資家にとっては株式は良い投資先であり続けてくれそうです。
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