どうもKAKA’(@teamkaka10)です。

先日は資本資産評価モデル(CAPM)とベータ(β)について理解しました。
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CAPMの理論が広まったことでリスクの定義と測定方法に変化が起こり、株式のリターンに関係があるのは、システマティック・リスクにある事がわかりました。
今日はこのリターンの関係がシステマティック・リスクにある理屈について学びたいと思います。
システマティック・リスクにある理屈
下の図は、分散投資と総リスクとの関係を示しています。

(出典:バートン・マルキール著 ウォール街のランダム・ウォーカー)
大きなリスクを取ればリターンが大きくなるとした場合、下記の条件ではどうなるでしょうか?
両方共60銘柄で構成されている2つのポートフォリオがあります。
両方共ベータ(β)は1とし、市場平均と同じ動きをすると仮定した場合。
<ポートフォリオ1>
ポートフォリオ1の総リスクはポートフォリオ2よりもかなり高いとします。
ポートフォリオ1に含まれる銘柄は、気象条件・為替レートの変動などの影響を受けやすいものとした場合、ポートフォリオ1の個別リスクは非常に大きくなります。
<ポートフォリオ2>
ポートフォリオ2の個別リスクは非常に低く、総リスクも低いとします。
<ポートフォリオの条件>
ポートフォリオ1 (60銘柄) |
ポートフォリオ2 (60銘柄) |
・各銘柄のβは1 ・各銘柄の個別リスク高 ・各銘柄の総リスク高 |
・各銘柄のβは1 ・各銘柄の個別リスク低 ・各銘柄の総リスク低 |
資本資産評価モデル(CAPM)が生まれる前では、リスクを大きくとる事で、大きなリターンを得ることができると考えられていました。
つまり、ポートフォリオ1の方が個別リスクも総リスクも高いため、リターンが高いと考えられていました。
しかし、資本資産評価モデル(CAPM)が広まって以降は、ベータ(β)が1であるために、両方のポートフォリオのリターンは同じになるべきといういえる様になりました。
ポートフォリオは両方共60銘柄で構成されており、非システマティック・リスクが取り除かれているため、総リスクはポートフォリオ1もポートフォリオ2もシステマティック・リスクのみとなり、ベータ(β)で表され、今回の条件では両方ともベータが1となり、リスクは同等となります。
これは、ポートフォリオ1の組入銘柄の個別リスクで、天気に大きな影響を受けても、為替レートがプラスの影響を受け、それぞれのリスクが相殺されることを意味し、両方のポートフォリオの総リスク(標準偏差)は同じとなります。
資本資産評価モデル(CAPM)の想定する基本的な関係

(出典:バートン・マルキール著 ウォール街のランダム・ウォーカー)
上の図からわかる事
個別銘柄またはポートフォリオのシステマティック・リスク(ベータ)が高まれば、期待リターンは高まります。
すべての資産を国債や銀行預金にリターンは変動しないためベータはゼロとなります。
ベータがゼロのポートフォリオをもつ場合のリターンは低くなり一般に無リスク金利と呼ばれます。しかし、投資家がより多くのリスクをとれば(ベータが大きくなれば)リターンが高まる事がわかります。
また、ポートフォリオのベータを調節することで、様々な期待リターンを得る事ができることがわかります。
この事から、「ベータはリスクを測る新しい方法」といわれていたときがありました。
ベータの実績
多くの機関投資家がベータの概念を信奉したものの、ベータも学者が考え出した概念に過ぎません。

(出典:バートン・マルキール著 ウォール街のランダム・ウォーカー)
上の図を1992年に出版された研究論文です。図を確認すると基本的にグループ別ポートフォリオのリターンとベータの間には何の関係もなかった事がわかりました。
ベータ(β)は資本資産評価モデルの中心的な分析ツールとなっていますが、それだけではリスクとリターンの関係を説明できない事がわかりました。
マルキールの見解
マルキールはベータ(β)に重大な欠陥が見つかったからといって、金融分析における数学的なツールを捨て去る必要はないと考えています。
変動性が大きいリターンよりも、安定したリターンが好ましいことは重要なポイントです。
仮に投資家がリターンの変動性を気にしないのならば、何兆ドルにも達するデリバティブの市場は今日の様に栄えることはなかったと考えています。
以上の事から相対的な変動性を測るベータ(β)は、私たちがリスクと考えているものの側面を捉えており、将来のリターンの相対的な変動性の予測に関してがんばっていると考えています。
ベータ(β)が完璧ではない理由の1つに、正確なベータの測定が難しい(不可能)という理由と、市場の平均的な指数も市場そのものではない事があげられます。
資本資産評価モデルとリスクの尺度となるベータ(β)についての結論は、ベータをどう計測するかによる事がわかります。
まとめ
市場で株式リスクプレミアムを決めるのは、システマティック・リスクである事がわかりました。
ただ、ベータ(β)だけではシステマティック・リスクの重要な部分を捉えきれないため、1つの目安となる事がわかりました。
Have fun★
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